福井大学子どものこころの発達研究センター発達支援 研究室

森岡 茂己 

学外研究員・福井愛育病院小児科

みなさま、はじめまして。福井愛育病院で小児科医をしております森岡茂己と申します。まずは自己紹介からさせてください。

私の出身地は大阪府で、中学、高校は兵庫県に通学、大学は京都市内に一人暮らしをして、京都府立医科大学に通っておりました。さらに大学卒業後は小児科医として京都府、滋賀県で勤務しており、その間に大学院にも行かせていただきました。ですので、平成24年から福井愛育病院で働かせていただいておりますが、これまでずっと近畿圏で生活しておりましたので、実はまだ北陸地方の生活には慣れたとは言えません。雪かき、カニの剥き方など、まだまだ上手にできませんし、雪の日の運転は極力控えるつもりです。そんな私ですが、この2年半で福井市は本当に住みやすいところだと感じております。駅前に出れば何でも揃っていますし、駐車場は大きいし、どこのお店に入っても食事がおいしいです。一緒に働くスタッフにも恵まれ、忙しくて泣きそうになることもありますが、日々楽しく過ごしております。

そして今年の秋から、縁あって福井大学子どものこころの発達研究センター発達支援研究室の学外研究員として研究に参加することになりました。大学院では先進的なMRI技術を用いて白血病患児などの脳画像解析を行っておりましたので、その手法を用いて発達障がい児の脳画像解析を行う予定です。

さて、突然ですが小児科医とは何をする人のことでしょうか?成人が総合病院を初めて受診するとき、おそらく総合内科(一般内科、総合診療科・・・、病院によって名称が異なります)で診てもらうと思いますが、小児科はまさに子どもの総合内科の側面を担っています。また、成人では総合内科から消化器内科や循環器内科など、いくつかの科に案内されることになると思いますが、小児の場合は(それぞれの分野の専門医に相談しながら)担当医が患児の全身を診ることが多いです。最初から一番近いところで患児に寄り添う家庭医のような存在でもあるのです。一方で、内科同様に専門分野も分かれており、例えば私は小児神経を専門にしておりますので、神経疾患が疑われる患児についての相談、診療も行っております。成人との違いは、たとえ私が小児神経を専門にしていても、熱が出てぐったりしているお子さん、おなかを痛がっているお子さん、喘息のお子さんなどの診療も同様に行うというところです。つまり、小児科医とは子どもの総合内科医、家庭医であり、そのうえで各々の専門医(私の場合は子どもの神経内科医)の役割も担っているのです。

子どもの総合内科医、家庭医である小児科医は、子育てなど母親の不安に寄り添うことも大切です。特に発達障がいのお子さんの場合、ご両親が何らかの「育てにくさ」を感じていることと思います。昨今、発達障がいの専門外来を受診するのに、初診の予約までに数か月かかることが全国的に問題となっております。残念ながらこれは福井県内でも同様ですが、すべての小児科医が子どもの総合内科医、家庭医として、専門外来を受診するまでの間にご両親の困り事に対して最初のアドバイスが出来るようになれればと思います。子どもの心診療部の春木部長にご指導いただきながら、私もご両親の「子育てに対する不安」や感じている「育てにくさ」に寄り添っていきたいと思います。皆様、是非一緒に勉強しましょう。どうかよろしくお願い致します。