福井大学子どものこころの発達研究センター発達支援 研究室

土橋圭子

連合大学院研究生

みなさま、はじめまして。

私は、2019 年 4 月から本研究科の研究生になりました土橋圭子と申します。どうぞよ ろしくお願い致します。 私は、大学卒業後からこの3月まで、愛知県立の特別支援学校(知的障害)に教師とし て勤務してきました。月日が経つのは本当に早いもので、「Time flies like an arrow(光陰矢の如し)」です。 母校の大学は、かつての百万石のお城跡に建っていました、本研究センターが連携してい ます連合大学のお仲間です。今は城址公園となり百万石のお城の建物が次々と復元され、 市⺠の憩いの場としてまた国内外の観光地として連日賑わっています。大学から城址公園 への移管のお話は私の学生時代からあり、都市計画は随分と⻑い年月をかけて行われるこ とに今更ながら驚嘆しています。学び舎が城外に出てしまったことには一抹の寂しさもあ りますが、これも時代の流れと思い今は買い物に、観光に、またかつての部活のメンバー との交流会にと城址公園を訪れ、ノスタルジーに浸っています。

さて、私と障害のある子どもたち(特に発達障害児や知的障害児)との最初の出会いは、 大学時代の付属学校での教育実習でした。教師の卵にとって、授業を計画すること以上に、 子どもの学習意欲に大きく関わり引いてはそれが子どもたちの今後の発達を左右する「子どもを目の前にした教育力・指導力」が非常に大きな課題となってきます。短い教育実習 期間の中で、子ども一人一人の状態を的確に把握し、子どもとのラポールを築き、子ども の心に寄り添いながら課題目標に向かって導くことの経験は、「真の教育」の意味を知り教 師へのあこがれを掻き立てられる貴重な経験でした。計画した図画工作の授業「ボディー ペインティング」で、言葉では表現することのできない子どもたちが、澄み切った清らか な、でも確かな強い意志を感じる目をもって一生懸命に活動に取り組む姿、その目の輝き を今も鮮明に覚えています。それが私の教育の原点となっています。

あれからこの 3 月までの教師生活。ともすれば目の前の子どもの心が置き去りになって いる現状、教師や学校組織サイドからの一方視的な独りよがりな子どもの見方や指導・教 育の在り方、子どもの心に傷を負わせ発達を阻害することが予測される子どもへの対応や 指導・教育の在り方等、今日の日本の教育の発展の中にあっても今も残る大きな課題を感 じ、改善に向けて取り組んできました。本研究科への私の入学動機は、ここから生まれて います。 子どもの権利条約、障害者の権利条約を批准している我が国の社会において、障害のあ る無しに関わらずすべての子どもの、生育環境に大きく左右される心の発達を健全に育成 することが、子どもを取り巻く大人の責務と感じます。どの家庭、どの学校、どの地域に おいても、子どもたちが心身共に健やかに成⻑し明るい未来を享受できるような環境を保 障するための一助になればと考え、本研究科での研究に取り組みたいと思います。