福井大学子どものこころの発達研究センター発達支援 研究室

西川里織

熊本大学文学部准教授

みなさま、はじめまして。2016年1月に就任しました学術研究員の西川里織(にしかわ さおり)です。2015年度に子どものこころの発達研究センターの発達支援研究部門(Age2企画)研究室が採択されました、科学技術振興機構・社会技術研究開発センター(RISTEX)「養育者支援によって子どもの虐待低減をめざすシステムの構築」の研究に携わっております。

私の出身は長崎県です。最近、職場で福井弁を学び始めましたが、部屋で変な福井弁が聞こえるとよく言われます。私は地元の短大で教職課程を履修した後、海外留学の夢が叶い、スウェーデンの大学と大学院で心理学を学びました。心理学に深い興味を持ったのは、スウェーデンで心理学を履修してからで、自分の思春期時代の経験を深く考えたからです。中学の頃、陰口を叩かれたり、私物をゴミ箱に捨てられたりしたことにショックを受けたことがきっかけで、教室に入れなくなり保健室登校がほとんどでした。心理学を履修するうちに、学校・教室に行けない子どもたちを支えるカウンセラーになりたいと思いました。スウェーデン語はある程度できても、スウェーデンで臨床心理士になるには言葉の壁が大きいこともあり、まずは博士課程にて研究の道へ進みました。心理士として子どもたちを直接助けることはできなくても、研究成果を出すことで、間接的にサポートできたらと思ったのです。そして学位論文では愛着や親子関係が青年期のメンタルヘルスや自己概念にどのように影響しているのかを文化・発達・教育心理学的に検証しました。   学位取得後日本に帰国してからは、脳科学や生物学など以前は自分が苦手だと思っていたことに興味を持つようになりました。ここ数年、愛着形成や遺伝子の型が子どもの認知機能にどのように影響しているかを調べる研究をしています。まだまだ自分自身が発展途上の途中です。そして福井大学では、養育者支援のプロジェクトに携わり、養育困難な母親やその子どもたちのために、さらに子育て中の全ての親御さんたちの役に立てるような社会貢献ができるよう努力したいです。

私が外国へ行ったのも、縁があり福井へ来て素敵な同僚たちとお仕事をすることも、みなさまとの出会いも、中学時代の経験がここにつながっているからだと思います。もし、思春期時代の挫折や苦難がなかったら自分はどのような人生を進んできたのだろうとよく思うことがあります。どちらの人生の方が幸せかなんて想像もつきません。ただ、自分が今の自分でここに居られること、住む場所が変わるたびに出会う人たちとの出会いに感謝しています。これからどうぞよろしくお願いいたします。