福井大学子どものこころの発達研究センター発達支援 研究室

落合恵子

連合大学院博士課程D1

はじめまして。今年4月から、連合小児発達学研究科福井校で勉強をさせていただくことになりました、落合恵子です。 普段は兵庫県西宮こども家庭センター(児童相談所)でケースワーカーをしています。住まいも兵庫県にあるため、毎回福井県に行く度にいろんな発見があって、新鮮な気持ちです。GWを利用して、附属病院からも近い、永平寺に行ったときはその世界観に圧倒されました。

私がこの研究室を目指すことになった経緯についてお付き合いください。

私はもともと単科の精神科病院で精神保健福祉士として3年間働いた後、今の仕事に飛び込みました。当時、兵庫県で大きい虐待事件があり、虐待防止法が成立した後でしたが、今ほどは、虐待件数が多くなく、警察や病院と児童相談所の関係も浅いものでした。

当時はまだ、何らかの事情で子どもが家庭から施設入所することになっても、その子の何年後、何十年後の将来を考えて、関わりを続けるということも少なかったと思います。また、「発達障害」という言葉が一人歩きし、虐待の場合でも「子どもに問題があるから」という理由で、施設入所になることがほとんどでした。

乳児院に入所した子どもたちは、2歳になったら別の児童養護施設に措置変更されますが、はじめの頃はそれも仕方ないと思っていたところがありました。でも、そのときの子どもの不安な表情がずっと忘れられませんでした。

児童相談所の中には一時保護所という施設があります。数年前に人事異動で一時保護所勤務になった際に、子どもと24時間過ごす中で、これまで児童相談所なのに、子どもの気持ちを全然見てなかったこと、子どもの気持ちが十分に反映されていないことを反省しました。そのころから、自分の気持ちを上手に表現できない子どもが、そのダメージをどうやって他の人にわかってもらえるのだろうかと考えていました。また保護された子どものアタッチメントが環境によって変化するのかを知りたいと考えるようになりました。

その頃に、友田先生の研究や研究室の先輩方がその手がかりとなる研究をたくさん発表されているのを知り、いつか自分もそこで勉強したいと思っていました。

今後は、子どもの心理状態を目で見える形にすることができないか、マルトリートメントの影響をバイオマーカーで知ることができないか、環境の変化によって子どもの気持ちがどう変わったかを目で見てわかることができないかを研究して行く予定です。便や毛髪など、子どもに負担のない、非侵襲的な方法で子どもの気持ちを代弁することができればいいなと考えています。

やっとこの研究室で勉強できることになり、忙しいながらもわくわくする毎日です。まだまだ知らないことばかりで、今はまだゼロから勉強し直している状態ですが、子どもの最善の利益のために、何か自分の経験などが生かせたらいいなと考えています。どうぞよろしくお願いします。